過去形も現在完了形も「過去」のことを表すことができます。地域や発話状況,話し言葉か書き言葉か,また個人の好みなどによる違いもあり,両者の使い分けは必ずしもすっきりしたものではありませんが,まずは「現在完了形は,完了したことを現在の立場から表し,過去形は過去の時点に身を置いて語るように表す」と考えておいて下さい。たとえば次の (4) では「荷造りした」という事実を現在の立場から述べ,(5) では昨夜の時点に言わば身を置いて帰宅したときの様子を語っているというニュアンスの違いがあります。
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(4)
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Ich habe den Koffer schon gepackt. 私はもうスーツケースの荷造りをした。
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(5)
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Gestern Abend kam ich um 11 Uhr nach Hause. Da las meine Frau die Zeitung. 昨夜私は11時に帰宅した。妻は新聞を読んでいた。
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さて,従属文では完了の助動詞 haben と過去分詞の語順はどうなるのでしょうか。従属文では定動詞が最後に置かれますが,完了の助動詞 haben と過去分詞のどちらが定動詞でしょうか ― もちろん完了の助動詞の方ですね。従って完了の助動詞 haben が文末,過去分詞はその前に置かれます。
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(6)
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Ich bin müde, weil ich ganz intensiv gearbeitet habe. 僕はすごく集中して働いたので疲れている。
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