話しことばにおける接続法

1980年代に行われた話しことばの調査では、接続法の頻度は次のようであったという報告があります。
 
35%
 
非人称構文、il faut que「~ねばならない」、il suffit que「~で十分だ」、c'est dommage que「~は残念だ」、c'est bien que「~するのはよいことだ」など
28%
 
人称動詞の構文、je veux que「~したい」、j'aimerais bien que「~したいなあ」、j'ai peur que「~ではないかと思う」、j'attends que「~するまで待つ」など
11.5%
 
接続詞queをともない構文、pour que「~のために」、pour peu que「少しで~すれば」、avant que「~する前に」など
 
この3つで全体の74.5%を占めていることがわかります。他の3つの話しことばコーパスで具体的に出現数を調べてみました。上の表のうち、j'attends que と pour peu que は用例が見つかりませんでした。
 
接続法は pour que や il faut que などの限られた表現でよく使われることがわかります。この結果からすると、それ以外にも avant que、j'aimerais bien que、je veux que くらいは覚えておいたほうがいいでしょう。それにしても話しことばでも予想以上に接続法が使われることがわかりますね。
 
謝辞
ここで扱っている言語運用データは現代フランス語の延べ201時間(111万語)の話しことばコーパスです。これらはいずれも1960年代末から70年代半ばにかけて、イギリスのフランス語教員たちが行った録音データを文字化したもので、現在、3つのコーパスはルーヴァン・カトリック大学文学部言語学科のサイトELICOPに掲載されており、検索ツールも3種類用意されています。資料の利用許可を与えていただいた同言語学科に感謝します。