指示代名詞の基本4種
それ自身に語彙的な意味がなく、現場や文脈の中のある事物を指し示す代名詞を指示代名詞と呼びます。
モンゴル語の指示代名詞は基本的に大きく2系列に分けられ、その中でそれぞれ単数と複数の区別があります。このモジュールでは、ふたつの系列を仮に近称と非近称と呼ぶことにします。
このステップでは、次の4種類の形を覚えます。
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近称
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非近称
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単数
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энэ
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тэр
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複数
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эдгээр
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тэдгээр
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単数と複数は、指されるものが単数か複数かで選択します。
近称と非近称の使い分け
ここで仮に近称と非近称と呼んでいるふたつの系列は、残念ながらその使い分けの細かい点が十分に研究されていませんが、多くの場合、おおむね日本語の「コレ」が近称(以下 энэ で代表させて示します)、「アレ」が非近称(以下 тэр で代表させて示します)に対応します。
ただし、次の点に注意が必要です。
まず、何か具体的なものを指しながら話している場合(これを現場指示と呼びます)、日本語の「ソレ」は「聞き手の近くにあるもの」を指しますが、モンゴル語の тэр にそのような用法はなく、次のような場合には тэр を使うことができません(まったく別の形式を使います)。
(少し離れたところにいる聞き手の手元にあるものについて)ソレを見せてください。
次に、何か具体的なものではなく、話の中に出てきた事物を指す場合(これを文脈指示と呼びます)、日本語では「コレ」を使うときにモンゴル語では тэр を用いることがあります。たとえば、次のような文章で直前の文に出てきた事物を指す「コレ」は、モンゴル語では энэ ではなく тэр となるのがふつうです。
(なぞなぞで)氷の上に銀のお椀、コレなあに?
(何か話題にしていたことがちょうど目の前で起こったときに)コレだよ!
現代モンゴル語の代名詞の使い分けについてはよくわかっていないことも多く、今後の詳しい研究が望まれます。このステップでは、おおまかな対応だけを理解しておいてください。
名詞を修飾する用法
このステップで見た指示代名詞は、名詞の直前に置かれてその名詞を修飾する指示形容詞として使うこともできます。
名詞を修飾する用法で使われるときのそれぞれの意味は次のとおりです。
単数・近称
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энэ
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+名詞類
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この~
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単数・非近称
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тэр
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あの~
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複数・近称
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эдгээр
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これらの~
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複数・非近称
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тэдгээр
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あれらの~
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энэ ном この本
тэр хүн あの人
эдгээр хонь これらの羊
тэдгээр адуу あれらの馬