文が表す事態に対する話し手の疑いの気持ちを表すのが疑いの表現です。一方、ある程度確信してはいるものの完全には自信がないというときに、聞き手に対して確認するのが確認の表現です。
疑いの表現と確認の表現は連続している面がありますので、このステップでは両者をまとめて学習します。
疑い・確認の表現は、以下のような形式を述語動詞のあとに置くことで表されます。
このとき、述語動詞は、終止形ではなく、形動詞形を利用した一連の形式の中から、自分の表したいテンスに最も近いものを選びます。この際、テンスがこれから起こる事態である場合は、平叙文では対応する文末形式が存在しないことから、質問文などの場合に出てくる語尾-хを用います。ただし、гэж үү の前の述語動詞は、形動詞形 -хではなく終止形 -на とすることが可能です。また、биз の前にも終止形 -на をとった形が来ることがあります。
形式
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意味
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日本語の類似形式
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гэж үү
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疑い
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(本当に)~というのですか
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биш үү
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反論
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~ではありませんか
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биз
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一般的な確認
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~ですよね
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биз дээ
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билүү (疑問代名詞なし)
билээ (疑問代名詞あり)
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忘れたことの確認
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~でしたっけ
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бол уу (疑問代名詞なし)
бол (疑問代名詞あり)
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① 自分に確認(自問)
② 婉曲的な質問
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① ~かな
② ~でしょうか
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②の意味で使われる бол уу は、丁寧なスタイルでは болов уу という形になります。
これらのあとにはクエスチョンマーク(?)が書かれることもあります。
Та Монголд амьдарч байсан гэж үү. あなたは(本当に)モンゴルで生活していたというのですか。(『モンゴルで生活していた』という事態に対する疑い)
Та Монголд амьдарч байсан биш үү. あなたはモンゴルで生活していたのではありませんか。(『モンゴルで生活していなかった』という聞き手の主張内容に反論)
Та Монголд амьдарч байсан биз дээ. あなたはモンゴルで生活していましたよね。(ある程度は確信がある『モンゴルで生活していた』という事態を聞き手に確認)
Та Монголд амьдарч байсан билүү. あなたはモンゴルで生活していたのでしたっけ。(一度は認識したが忘れてしまった『モンゴルで生活していた』という事態を聞き手に確認)
Та хэзээ Монголд амьдарч байсан билээ. あなたはいつモンゴルで生活していたのでしたっけ。(『モンゴルで生活していた』という事態の一部である『時期』を聞き手に確認)
Өнөө өглөө эм уусан бол уу. けさは薬を飲んだかな。(『薬を飲んだ』という事態を自問)
Өнөө өглөө хэдэн эм уусан бол. けさは薬をいくつ飲んだかな。(『薬を飲んだ』という事態の一部である『数』を自問)
Та Монголд амьдарч байсан болов уу. あなたはモンゴルで生活していらっしゃったでしょうか。(『モンゴルで生活していた』という事態を婉曲的に質問)
Та хэзээ Монголд амьдарч байсан бол. あなたはいつモンゴルで生活していらっしゃったでしょうか。(『モンゴルで生活していた』という事態の一部である『時期』を婉曲的に質問)
婉曲的に質問する用法の болов уу は、現在のモンゴル社会ではかなりの敬意を示す相手にのみ使われます。
以上のほか、ややくだけたスタイルになりますが、任意の形の述語のあとに次のような形式が置かれ、聞き手に対する確認を表すことができます。この形式は日常の会話ではきわめてよく使われます。
【述語】, тийм ээ?
【述語】, тийм үү?
тийм ээ は、友人や家族との会話など、さらにくだけたスタイルでは тээ という縮約形になることがあります。
Та Монголд амьдарч байсан, тийм ээ? あなたはモンゴルで生活していましたよね。(ある程度は確信がある『モンゴルで生活していた』という事態を聞き手に確認)
Та Монголд амьдарч байсан, тийм үү? 同
この表現は、上で見た確認の形 биз/биз дээ や、以前のステップで学習した概言の表現のあとで、さらなるダメ押しとして使われることも少なくありません。
Чи Монголд амьдарч байсан биз дээ, тээ? 君はモンゴルで生活していましたよね。(同)